近くの公園で紫陽花がおしげもなく咲いていて、ついついスマホのカメラを向けてしまう。まず実物を見て「わぁいいわぁ」って思って撮って、そのあと画面のライブラリーで「きれいだわぁ」って二度味わう。通りすがりの老若男女も外国人も、示しを合わせたかのように同じようにそうしてる。しかも紫陽花は、曇天でも快晴でも、もちろんしっとり雨の日でも、それぞれにぴったりの表情をしているというか自然となじんでしまうところがまたいい(別の花だとそうはいかない)。
そうして集めた紫陽花をここに記録している今は、三度目の「あぁいいわぁ」をやっている。別に言いたいこととかないんだけど、紫陽花があまりにもよすぎて、これまで知らないうちに過小評価していたことが信じられず、それこそどこを見て歩いてたんだろうな、今まで。前に住んでたイギリスにも紫陽花はあったし、ハイドレンジアって呼ばれていて、ハイドレンジアってそのまんまで(ギリシャ語で水を表す、なぜならハイドレンジアは多量の水を要していてすぐ喉が渇くからだそうで)ちょっとイージーな名づけにも思えるけど、音の語感はけっこういいよね。
Googleで「紫陽花」スペース「由来」と入れると、原産は日本だった。紫陽花の語源は「藍が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」が訛った形なんだそうだけど、「あづさい」の方がむしろ訛ってるって気する。まあそんなことはどうでもよくて、近所でとにかく集めた紫陽花を見れば…
なんか、ふわあぁってなんない? ふわあぁって。
写真の最後ほうは、降ってきた雨に濡れている紫陽花なんだけど、こんなに雨が似合う植物はないよね、やっぱ。濡れた朝顔とかもいいんだけど、紫陽花にはかなわないよ。圧巻。で、よく見ると紫陽花が咲いているって思うその花びらの中に、さらに小さいお花みたいなのがあって、その小さいお花が咲いていたり咲いていなかったりする。お花のなかにお花があって、それはよく見ないとわかんなくて、入れ子状態というかマトリョーシュカ的というか、ちょっと隠されてる風なわけ。それがまたいい具合に雨で潤んでいて。
あんた、すごくきれいだね。
東京にお庭もってないけど、お庭があったら紫陽花を敷き詰めたい。藍とか白とか紫とか桃とか、というか何色って言いきれない色がひとつの花にじわんと広がってるような紫陽花の集合体を眺めたい。桜とは全然違うけど、それに匹敵するくらいのポテンシャルをもっているような気がするって言ったらおおげさなのはわかってる。でもすごいよ紫陽花は、やばいよ紫陽花は。語彙がなくてごめん。