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アフリカへサファリに行く

セレンゲティ編(5)

アフリカへサファリに行く

セレンゲティ編(5)

食事中のハゲワシたち

サファリカーが埃を巻き上げ、サバンナを疾走する。
果てしない平原のただ中で、私たちは空を飛ぶ大型肉食動物、その騒がしい食事会に遭遇する。

「ヴォルチャーズ!」

ハゲワシ。
集まった数十羽が、シマウマの亡骸をものすごい剣幕でついばんでいる。キーッ、キーッと声を上げ、黒い羽をバタつかせながら、一体のごちそうを奪うようにつつき合う。動物の死体を食べる「腐肉食(スカヴェンジャー)」はみずから死体を探すほか、だれかが仕留めた獲物を横取りしたり、残り物をあさったりする。腐敗した死骸というのは病原菌の巣窟となるが、ハゲワシは強力な胃液を出して病原体を殺すことができるという。

ふと上空を見上げると、真っ青な空の上からごちそう目がけてハゲワシたちが下降してくる。一羽、そしてまた一羽。かなたの空から大きな鳥がつぎつぎに集結してやってくる。

特等席を陣取ったハゲワシたちの首や頭が、みるみるうちにシマウマの血で染まっていく。
死体をあさるハゲワシには、邪悪なイメージがつきものだが––––––

いっぽう、こうしたスカヴェンジャーがいるからこそ、死骸から病原菌が広がらずに済んでいる面もある。
じっさい彼らは驚くほどの早食いで、シマウマまるまる1頭を30分ほどで平らげると言われている。

「ああ……ネイチャー……ネイチャー」
ハゲワシたちの宴会が終わる頃、運転席から敬意を含んだため息が漏れてくる。